相分離を利用したアクリルモノリス

水とアルコールの混合効果

 アクリル樹脂の代表的なポリマーであるポリメタクリル酸メチル(PMMA)は有機ガラスとして水槽等にも用いられているように水には溶解しません。また、エタノールなどのアルコールにも実用的な温度範囲では溶解しません。しかし、水とエタノールの混合溶媒を用いた場合では高温で溶解し、低温では溶解しないという性質があります。我々はこのような性質を利用して、PMMA不織布の収縮(詳細はこちら)や相分離を利用したPMMAモノリスの作製を行っています。



相分離を利用したモノリスの作製

 モノリスとは骨格と空隙をそれぞれ連続に有する一塊の多孔体のことを言い、構造上の特徴からカラムや触媒の固定化担体として応用可能な機能性材料です。重合法によるモノリスの作製が報告されていますが、操作が非常に煩雑です。そこで、アクリル樹脂が水/アルコール混合溶媒に特異的に溶解することを利用した、ポリマー溶液からの相分離によるモノリスの作製法を開発しました。具体的には、PMMAを水とエタノール(エタノール80 vol%)混合溶媒中で加熱溶解し、その溶液を冷却することでサブミクロンサイズの骨格を有するモノリスを得ました。この作製法は従来技術と比較して非常に簡便なだけではなく、省エネルギー、かつ余分な廃棄物が出ないクリーンな製造プロセスであるという特徴があります。また、人体や環境への害の少ない水とエタノールによって作製できるため、バイオ分野をはじめとする様々な応用が期待できます(詳細はこちら)。さらに、同様の微細な構造を高分子表面に構築する手法を開発しました(詳細はこちら)。



TOPに戻る