ポリ乳酸

 バイオマス資源を主原料とする高分子材料の中でも、穀物類の資化・発酵により得られる乳酸から合成されるポリ乳酸が、既存のプラスチックに近い力学物性等を示すため、石油由来プラスチックの代替材料として注目されています。現在では製造プラントも稼動しており、本格的な工業生産が行われている唯一のバイオプラスチックです。しかし、ポリ乳酸を幅広く応用展開するには、石油由来プラスチックに比して高価であることや、物性・機能の面でも結晶性が高く柔軟性に乏しく、耐衝撃性や耐熱性が低いことなどの課題があります。
 我々は、同じくバイオマス資源である天然油脂をコアとして多分岐型のポリ乳酸を合成することで、低融点、低結晶性を実現できることを見出しました。また、これらの多分岐型ポリ乳酸は直鎖状ポリ乳酸の可塑剤や結晶核剤として高い効果を示すことを見出しました。この多分岐型ポリ乳酸はポリウレタン用ポリオールとしても有望で、植物ポリウレタンが開発できます。さらに、従来法よりも工程短縮、価格低減、製造エネルギー削減を達成することを目的として、乳酸発酵液からの直接重合に関する実用的研究も行っています。
 このように乳酸の重合プロセス改善、ポリ乳酸の物性向上の両面から、持続的に供給可能な材料循環システムの構築に貢献しようと取り組んでいます。


バイオベース社との共同研究の成果はこちら (PDFにリンク)

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