メッセージ

 現在、環境・資源・エネルギーへの様々な制約からサステイナブルな成長を維持できない危機に迫られており、20世紀型産業・社会において経済成長と環境保全が対立概念であったことに起因すると考えられています。そこで21世紀は経済成長と環境保全を両立することが必要であり、環境を重視した技術イノベーションが必要となります。例えば、サステイナブルな生産プロセスへの転換、ゼロエミッション型社会に対応できる技術革新、サステイナブルな生活を享受できるテクノロジー開発が挙げられます。宇山研究室では、持続的に発展可能な社会の構築に貢献できる技術(Sustainable Technology)を高分子新素材の開発により具現化することを目標として、研究開発を行っています。そのために、グリーン、バイオ、ナノ を融合させ、新概念・新手法に基づく機能性高分子新素材を創製してきました。

 研究室の一つの柱として、バイオマスプラスチックの開発研究が挙げられます。自然界では光合成により大気中の二酸化炭素が植物中に炭素資源として固定化されています。これらのバイオマス資源を材料やエネルギーの原料として利用できると、二酸化炭素の排出量を増加させない“カーボンニュートラル”に大きく貢献できます。そのため、バイオマスを利用した高分子材料(バイオマスプラスチック)の開発は循環型社会の構築に向けた重要な課題です。また、天然素材は自然界において重要な役割を果たしており、人類によって作られる材料では到底及ばない高性能・高機能の材料です。自然界における天然素材の役割を構造や物性・機能の観点から理解した上で使いこなすことができるならば、石油などの枯渇資源に依存することなく、既存材料よりはるかに優れた材料をつくることができるはずです。

 また、既存の材料をナノレベルで成形加工する手法を開発することで新しい機能を付与し、バイオメディカル、資源循環、環境保護に貢献できる技術を開発しています。材料の基本的性質と成形加工により生じる新たな特性を融合することで、材料の新用途を創出することができます。宇山研究室では、このような取組みにより環境に優しい未来型高分子材料の設計指針を示し、その具現化を目指しています。そのために大学独自の基盤研究はもとより、産学連携にも積極的に取り組み、その成果が社会に還元されることを目標としています。




TOPへ戻る