アレルゲン不活性化剤

 近年、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患が問題となっており、その主たる原因として室内塵中に多いチリダニのアレルゲンやスギ花粉アレルゲンが挙げられます。特にチリダニのアレルゲンの場合、チリダニを駆除しても、その死虫が更にアレルゲン性物質を生活空間に供給するため、アレルゲンが原因となるアレルギー疾患の根本的な解決には至りません。このようなアレルゲンはタンパク質であるため、熱や強酸・強アルカリで変性し、アレルゲン性を失いますが、家庭で安全に使用できる程度の薬剤ではアレルゲンを不活性化できません。最近ではポリマータイプのアレルゲン不活性化剤をフィルター等に添着した空気清浄機や繊維に添着した寝具が開発され、繊維やフィルターへの加工性からこれらの用途への適用が可能となりました。しかし、その性能は十分なものでなく、生活環境に悪影響を及ぼす様々なアレルゲンへ対応できる新たな高分子型アレルゲン不活性化物質の開発が切望されていました。そこで、我々は酵素触媒重合により合成したフェノールオリゴマーの高分子型アレルゲン不活性化剤としての応用を検討しています。これまでにダニアレルゲンに対し、酵素法フェノールオリゴマーに既存品(ポリビニルフェノール)の100倍以上高い性能を見出しました。現在、このフェノールオリゴマーの抗アレルギー製品への用途展開を行っています。

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