化学工学研究室在籍教官一覧
大竹伝雄:1957 教授、1962 基礎工学部に配置換
櫟田栄一:1957 助手、1962 助教授、 1964 基礎工学部に転出
東稔節治:1963 助手、1964 基礎工学部に配置換
駒沢 勲:1962 助手、1965 基礎工学部に配置換

本講座在籍教官一覧
松田住雄 1953 教授、1973 停年退官
松田治和 1958 助手、1966 助教授、1978 教授、1993 停年退官、現大阪府立産業技術総合研究所所長
内田 章 1964 助手、1968 学内講師、1973 講師、1981 新浜高専助教授に転出
蜷川 彰 1966 助手、1981 助教授、1986 高岡短期大学教授に転出、現高岡短期大学教授
野村良紀 1982 助手、1992 学内講師、1993 講師、1994 大阪工業大学助教授に転出、現大阪工業大学大学教授
馬場章夫 1981 助手、1987 助教授、1995 教授
芝田育也 1987 助手、1995 助教授
安田 誠 1995 助手、2008 准教授
齋藤隆博 2008 助教、2008 カネカに就職
Srinivasarao Arulananda Babu
2003 助教、2008 Indian Institute of Sciense Education & Research Mohali に転出(assistant professor)

西本能弘 2009 助教

研究室名称の変遷
S37-S43 (1962-1968)
 応用化学科第五講座(松田住雄研究室)
S44-S49 (1969-1974)
  石油化学科石油第一講座(松田住雄研究室)
S50-S53 (1975-1978)
  石油化学科 石油第一講座
S54-S58 (1979-1983)
  石油化学科第一講座(松田治和研究室)
S59-H05 (1984-1993)
  応用精密化学科精密資源化学講座(松田治和研究室)
H06-H07(1994-1995)
  応用精密化学科精密資源化学講座 
H07.2- (1995-
 )     応用自然科学科分子化学専攻合成化学講座精密資源化学領域(馬場章夫研究室)

研究室の概要

本講座は、教授香坂要三郎、教授井本稔に続き応用化学第三講座の担当教授であった 松田住雄が、 新しい講座に移った形で1965年に開設され、石油化学分野の研究を開始 した。その後を1978年に教授、松田治和が引継ぎ、有機金属化学の分野を開拓した。 さらに1995年から教授馬場章夫が担当して有機合成化学への展開を行い、現在に至っ ている。この間に、応用化学第五講座、石油化学第一講座、応用精密化学精密資源化 学講座、そして現在の分子化学専攻合成化学講座資源化学領域へと変わり、その研究 分野も広範囲に変わってきたが、一貫して資源化学的見地から工業化学分野の教育と 研究を担当してきた。

 1949年頃より活動を開始していた応用化学科内の化学工学研究室、19574月に化学 工学講座(教授大竹伝雄担当)として発足した。1962年基礎工学部に創設された化学 工学科に大竹が転出したのち、1965年に応用化学第五講座(石油化学工学)と内容を 変え、応用化学第三講座の担当であった教授松田住雄が移ることとなり、本講座の基 礎が確立された。この改組は、石油化学が大きな流れとなった社会情勢から、燃料化 学および燃料工学という第三講座の内容から石油関係を分離して組織を増強するため であった。その代表的な研究に合成潤滑油の改良がある。その分子構造と潤滑油性能 との相関関係を明らかにすることにより、過酷な条件での使用に耐える製品の合成検 討を行っている。さらに、当時、塩化ビニル樹脂用の安定剤申間体として重要な位置 を占めつつあった有機スズ化合物の、金属スズからの直接合成法を発した。この方法 および合成した有機スズハライドは工業原料としての高い評価を受け、その企業化に も大きく貢献した。その後、19694月、石油化学科の開設とともに同科の第一講座と なり、石油中間製品である各種の工業原料を用いる新しい反応の開発、さらにはその 有効利用のための新物質の開発を担当してきた。

 有機工業化学の領域で数多くの業績をあげた松田住雄の停年退官後、その研究思想 は1978年に講座担当となった教授松田治和によって引き継がれ、学術的基盤にたつ工 学的な研究が大きく発展した。有機スズ化合物の合成とその用途開発研究も大きく発 展し、長鎖オレフィン類の利用に関する研究、さらには、フェノール類を用いる高分 子量ノボラック樹脂の合成研究、等は業界からも強い注目を受けてその成果が高く評価された。さらに、1985年の応用精密化学科への名称変更を機として、精密資源化学 講座となった。石油のみに依存しすぎた燃料工業および化学工業の見直しが社会的急 務となった情勢に対応して、石油化学分野の研究に加えて、二酸化炭素や各種有機金 属化学などの未利用資源の高度利用への展開をはかった。特に、従来からの有機スズ 化合物に関する業績の蓄積は、その後、第4,5および6族の典型有機金属化合物を 用いる新反応の開発へと展開し、アルキレンオキシドやビニル化合物の重合反応触 媒、高性能リチウム電池の電解質として重要なアルキレンカーボナートの製法となる アルキレンオキシドと二酸化炭素との付加反応触媒などを開発した。さらに、錯体触 媒の構造変換に基づくアジリジンやアルキレンオキシドの環化付加方向の自由制御な ど興味ある応用が開拓されてきた。この時期、さらに、長く蓄積されてきた有機金属 錯体の合成手法を生かして、有機金属化含物をソースとする化含物半導体の創製に関 する研究が開始された。従来法であるマルチソースプロセスに比べて、はるかに温和 な条件での調製が可能な材料製造法であるシングルソースプロセスの開発に成功し、 導電性材 料や光応答性材料の製造法として注目を浴びた。この間、学部および大学院 の教育に関しては、燃料、石油、石油化学関係を中心に、有機化学およぴ有機工業化 学分野を主として担当し、工ネルギー関連や総合化学企業をはじめ幅広い分野に人材 を送りだし、多数の卒業生がめざましい活躍をしている。1965年に応用化学第五講座 が発足してからの本講座における研究および教育には、講師 内田 章、助教授 蜷 川彰、助教授 馬場章夫、講師 野村良紀、助手 芝田育也ほか多数が参画している。  19951月に、教授 松田治和の後を引き継ぎ、教授 馬場章夫が講座担当となっ た。同年4月に、大学院重点化にともなって大幅な組織改革がおこなわれ、本講座は分 子化学専攻合成化学講座内の資源化学領域となり、それまでの工業化学分野に加えて 有機合成化学に関する教育および研究を担当することとなって現在に至っている。現 在の研究の主目的は、本講座における長年の蓄積研究に立脚して、有機金属とくに有 機典型金属を用いた新規な選択的有機合成手法の開発であり、次に示すような基本的 な考え方のもとに、新しい 合成手法の開発研究を進めている。資源化学的な考えに立 つ有機合成化学は、特に反応性の乏しい、オレフィン、パラフィン、二酸化炭素など の低分子量合物を反応に組み込み、標的化含物の希望の位置に希望の方向から効率よ く導入する必要がある。さらに、経済効率や環境問題を考慮した合成プロセスを設計 する必要がある。これらを視野に入れ以下に示すような手法で、基本的反応として重 要である還元反応、炭素―炭素結合反応などを検討対象として取りあげている。

 l)異種金属間相互作用を利用した活性種の創製に基づく新タイプの反応開発;安定 な有機典型金属化含物を原資とし、金属交換反応などの金属間相互作用を利用するこ とにより有機インジウムや二価有機スズなどの不安定な活性種の発生法の確立と、合 成反応への取り込みを可能としている。

 2)有機スズ化合物への機能付与による反応の自由制御法の開発;金属ヒドリド、金 属酸化物の複合錯体化や置換基変換による反応


馬場研究室トップに戻る
場研OBのページへ戻る