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研究プロジェクトPROJECT


科研費プロジェクト (若手B) 研究代表者: 網代 広治

事業名:日本学術振興会 平成24年度 学術研究助成基金助成金 若手研究(B)
研究領域:化学、材料化学、高分子・繊維材料
研究課題:表面カチオン化ポリ(N-ビニルアミド)ゲルを利用した新規薬物徐放制御材料の創製
研究代表者:網代広治(阪大MEIセンター)
期間:平成24年〜平成25年度(2年間)

[概要] これまでに、N-ビニルアミドを出発物質として様々な相互侵入網目(IPN)を報告してきた。ポリ(N-ビニルアセトアミド) (PNVA)やポリ(N-ビニルホルムアミド) (PNVF)は加水分解すると高分子主鎖側にアミノ基が残存するため、ポリカチオンのポリビニルアミン(PVAm)を与える。
PNVA-co-PNVFとPVAmとのイソプロパノールに対する溶解性の違いを利用すると表面部分のみを選択的に加水分解可能であり、ノニオン性内部とカチオン性表面が化学結合で結ばれたゲルを調製できる。本手法は我々によって既に確立され、膜厚を制御することが可能である。さらにポリアクリル酸とのIPNを調製すると、表面だけがポリイオンコンプレックス層を有する表面ポリイオンコンプレックスゲル(sPICゲル)を作製できる。
sPICゲルは、内部のノニオン性ポリ(N-ビニルアミド)ゲルが大部分の体積を占め安定な膨潤度を有するのに対して、極薄い表面部はポリイオンコンプレックスから構成されるため、pH環境に応答して膨潤度が変化する。つまり、それぞれを「薬物貯蔵部」と「徐放制御部」とみなすことができ、インテリジェントゲルとして活用可能と期待される。
しかしsPICゲルの報告例は現在のところ一報のみであり、その例では構成するポリアニオンとしてポリアクリル酸を、薬物モデルとしてフルオレセインイソチオシアネートラベル化デキストラン(FITC-dex, 分子量9500)をそれぞれ用いているが、実用的な薬物徐放制御の構築を目指すためには、薬物の静電相互作用や分子量、応答するpH領域など、さらなる検討が必要である。
そこで、本研究課題では目的を「ポリ(N-ビニルアミド)を用いて、種々のアニオン性ポリマーおよび刺激応答性官能基をカチオン化したゲル表面に導入することにより、実用的な薬物徐放制御に柔軟に対応できる新規インテリジェントゲルを構築し体系化すること」と設定し、種々のアニオン性ポリマーを用いたsPICゲルの合成、表面カチオン化ゲルと刺激応答性との結合、実用薬剤を用いた徐放制御実験、さらにナノマテリアルへの展開を目指している。

(1) Y. Takemoto, H. Ajiro, T.Asoh, M. Akashi, “Fabrication of Surface-Modified Hydrogels with Polyion Complex for Controlled Release”, Chem. Mater. 2010, 22(9), 2923-2929.
(2) H. Ajiro, Y. Takemoto, T. Asoh, M. Akashi, “Novel Polyion Complex with Interpenetrating Polymer Network of Poly(acrylic acid) and Partially Protected Poly(vinylamine) Using N-Vinylacetamide and N-Vinylformamide”, Polymer 2009, 50, 3503-3507.
(3) H. Ajiro, J. Watanabe, M. Akashi, “Diversification of Nonionic Amphiphilic Poly(N-vinylacetamide) Hydrogels by a Double Network Approach”, Chem. Lett. 2007, 36, 1134-1135.






                                           
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