本化学系教室は、官立大阪工業学校の化学工芸部・応用化学科としての創立から 大阪高等工業学校、大阪工業大学、大阪帝国大学さらには大阪大学工学部の応用化 学系学科へと幾多の変遷を経てきましたが、「地域に生き、世界に伸びる」大阪大 学のモットーの通りつねに発展を続け、今では世界でも有数の化学情報の発信源に 成長しています。この中にあって、平成6年以来の大学改革は、創始以来100年間の中でも大変大き な変革の一つであります。すなわち、大阪大学発足当時、社会の急激な変化ととも に慌ただしく導入された諸制度が抱えていた問題点が改革されることになりました。 その一つは、専門教育と区分されて有機的に機能しにくくなっていた一般教育の問 題であり、もう一つは学部に総て依存し組織として不明確であった大学院の問題で あります。
工学研究科における大学院重点化の基本方針は、教育の重点をこれまでの応用指 向の技術教育から創造的研究能力の養成に移すと共に、特に大学院における教育・ 研究の高度化を目指すものとしています。そして、工学研究科を適切な分野・規模 の「応用自然科学系」「電子情報エネルギー系」「応用理工学系」「地球総合工学 系」に分け、各「系」における理念・目的を明確にし、高度で創造的な教育・研究 の実行に対し、より細かく適切で迅速な対応ができるよう再編成するものである。
4年計画の最初として平成7年、応用化学、応用精密化学、応用生物工学、精密 工学、応用物理学及びプロセス工学の6専攻が改組再編され、物質・生命工学専攻、 分子化学専攻、物質科学専攻、応用生物工学専攻、精密科学専攻及び応用物理学専 攻からなる応用自然科学系が設置されました。並行して、学部の応用化学、応用精 密化学、応用生物工学、精密工学及び応用物理学の5学科が、応用自然科学科(大 学科)に統合されました。化学系教室は、創始後100年を経た今、物質・生命工学専 攻4講座・4研究室、分子化学及び物質科学専攻6講座・16研究室、及び協力講座 として産業科学研究所4講座・4研究室並びに保全科学研究センター1研究室の計 25研究室からなり、分野に捕らわれない新しい学問領域を確立し、その最先端の工 学的展開を図るための研究と、従来の学問領域や研究領域を超越した新しい科学観 をもつ次世代の研究者・技術者を養成するための教育を行うべく邁進しています。