研究トピックス

世界初!S型・X型ダブルヘリセンの合成・実証に成功

応用化学専攻木田研究室の森 直准教授らの研究グループが、らせん分子の代表選手であるヘリセン(図1)※1を様々に配列・検証し、対称性の高いS型およびX型配置が物性向上の鍵となることを世界で初めて明らかにし、実際に合成して実証しました。


図1. らせん分子、ヘキサヘリセンのエナンチオマー(鏡像体)

これまでキラル材料※2の設計・合成においては信頼できる理論体系がなく、その年代ごとに合成できるようになった分子をやみくもに作ってみるか、化学者が経験と直感をもとに個別に設計するかしかなく、理論に裏打ちされた設計指針は存在していませんでした。


今回、森准教授らの研究グループはヘキサヘリセンの物性向上の可能性を量子化学計算で調査し、S型、X型配置における物性の向上を予測。さらに、二つのヘキサヘリセンが融合した、ダブルヘリセンが最適な材料となりうることを見出しました。その後、実際にそれらの合成に成功し(図2)、物性が飛躍的に向上することを明らかにしました。


図2. 実際に合成されたX型およびS型のダブルヘリセンの化学構造と結晶構造

この研究成果は、直感的な設計・合成、検証という従来型の材料開発から脱却した戦略により、材料開発コストを飛躍的に改善できる可能性を示しています。
そして、近年注目を集めている、3Dディスプレイや医療現場の内視鏡技術、セキュリティーペイントなどの情報通信分野での応用などの先端材料科学分野において、技術革新の飛躍的なスピードアップに貢献するものと期待されます。


本研究成果は7月5日(木)に、Springer-Nature社「CommunicationsChemistry」に公開されました。


今後も「世界初」を目指し、先端領域の研究に挑む、応用化学専攻の研究者たちの活躍にご期待ください!

詳しくはこちら
http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2018/20180706_3



※1 ヘリセン
複数の芳香環が辺を共有しながら縮環した化合物。三次元的な制限により、左巻き、右巻きのらせん構造を有することが特徴で、一般に強いキラル物性を示します。ベンゼン環6つの場合は、ヘキサヘリセンと呼ばれます。


※2 キラル材料
右手型、左手型を示し、またそれらを識別することのできるような先端材料。3Dディスプレイ、内視鏡、セキュリティーペイントなどへの応用が期待されています。

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